親の遺産と数棟の不動産から得られる不動産収入があるのですが、結婚しても夫婦の財産と区別しておきたいです。 | |
法定財産制においても結婚前の財産(親の遺産、数棟の不動産)は、財産分与の対象となりません。しかし、不動産収入につきましては、財産分与の対象と考えられることもあります。 夫婦財産契約書を作成し、財産の帰属及び財産管理の方法を定めておくべきです。 |
夫婦財産契約書とは
夫婦財産契約書とは、民法756条の法定財産制と異なる契約(夫婦財産契約)を規定した契約書面のことです。法律上の婚姻を約束したカップルが結婚前に締結することになります。
民法には、760条(婚姻費用分担)、761条(日常家事債務)、762条(夫婦別産制)等、夫婦間の財産関係に関する規定が設けられていますが、これらの規定を総称して法定財産制といいます。夫婦は、夫婦財産契約による特別な取決めがなされていないときは、この法定財産制が適用されることになります。つまり、法定財産制を適用したくないカップルは、夫婦財産契約の締結が必須となります。
行政書士鷹取法務事務所は、お客様のご要望に基づき、クオリティの高い夫婦財産契約書の作成を承ります。お気軽にご相談ください。
夫婦財産契約公正証書とは
「夫婦財産契約書」の公正証書版が「夫婦財産契約公正証書」です。
夫婦財産契約は、夫婦財産契約登記の手続きを行わなくても、夫婦間においては有効な契約とされています。このため、夫婦財産契約登記を行わない場合には、契約書が夫婦財産契約を締結した唯一無二の物的証拠になりますので、公正証書にされることをお勧めいたします。
行政書士鷹取法務事務所は、夫婦財産契約公正証書の作成実績が豊富なため、安心してご依頼ください。行政書士鷹取法務事務所にご依頼いただきましたら、お客様が実際に公証役場に行く必要はありません。行政書士2名が作成手続きの代行いたします。
夫婦財産契約登記
民法756条は、「夫婦が法定財産制と異なる契約をしたときは、婚姻の届出までにその登記をしなければ、これを夫婦の承継人及び第三者に対抗することができない。」と規定されています。つまり、夫婦財産契約は、管轄の法務局に夫婦財産契約登記の手続きも行わなくてはなりません。
夫婦財産契約登記を行いませんと夫婦の承継人及び第三者に対抗することができません。
夫婦の承継人とは、相続人や包括受遺者です。第三者とは、特定承継人や夫婦の財産に利害関係を有する者です。
夫婦財産契約書の作成をお勧めするケース
結婚しても互いに経済的に依存しないことを条件にパートナーと婚約しています。万一、離婚するときも財産分与を行いたくありません。 | |
財産の帰属等に関し、法定財産制を適用させることなく、夫婦個別の規定を設けられるのが夫婦財産契約制度です。結婚後の収入につきましても、財産分与の対象から外すことができます。 |
夫婦財産契約書のひな型
〔ひな型〕
夫婦財産契約書
- 第1条(合意の成立及び本契約の目的)
- 東京太郎(以下「甲」という。)と青梅花子(以下「乙」という。)は、甲乙が婚姻時に所有する財産及び婚姻後に取得される財産に関し、その所有権の帰属、使用収益、管理、処分の方法等について、次条以下のとおり、合意した。
- 第2条(本契約の効力)
- 本契約は、甲乙の婚姻の成立を以て有効とする。
- 第3条(財産目録による開示)
- 甲及び乙は、婚姻時に所有する一切の財産及び債務について、添付する財産目録により開示した。
- 第4条(特有財産)
- 次の各号に掲げる財産は、甲乙の共有に属さない単独の財産(特有財産)と定め、この特有財産については、その所有者(名義人)が使用収益、管理、処分を行うものとする。
- (1)婚姻前から有する現金預金、不動産、動産、金融資産、その他一切の財産
- (2)婚姻後に自己の名義により取得される現金預金、不動産、動産、金融資産、その他一切の財産
- (3)相続財産
- 第5条(共有財産)
- 1.次の各号に掲げる財産は、甲乙の共有に属する夫婦の財産(共有財産)と定め、この共有財産については、甲乙互いに使用収益、管理、処分を行うものとする。
- (1) 所有者(名義人)や帰属が不明な財産
- (2) 婚姻費用の支払のための現金預金
- 2.前項(2)の現金預金は、互いの特有財産から一定の金員を、以下の金融機関口座及び金庫に入金し、特有財産と区別して管理する。
- 〔金融機関口座の表示〕
- 三井住友銀行 ○○支店 普通 0000000 トウキョウ タロウ
- 青梅信用金庫 ○○支店 普通 0000000 オウメ ハナコ
- 〔金庫の表示〕
- JBS-K310 SENTRY
- 第6条(婚姻費用の支払)
- 次の各号に掲げる費用は、前条の共有財産から支払うものとする。
- (1)甲乙の居住に係る一切の費用(賃料、管理費、水道光熱費、火災保険料、通信費等)
- (2)甲乙の居住用不動産に設置する家具、家電製品、日用品、消耗品を購入する費用
- (3)食費
- (4)医療費
- (5)乙の妊娠活動に要する費用
- (6)甲乙間の未成年の子の監護養育に要する一切の費用
- 第7条(債務の負担)
- 1. 日常の家事に係る債務については、共有財産からこれを弁済する。
- 2. 前項以外の債務については、甲乙各自の個別の債務として、債務者の特有財産からこれを弁済する。
- 第8条(日常家事債務)
- 民法761条(日常家事債務) の規定に従い、甲乙の一方が日常の家事に関し、第三者と法律行為をしたときは、他方はこの行為により生じた債務について、連帯してその責任を負うものとする。
以上